身体のわずかなエラーを修復する能力
人は、自動販売機の穴にコインがうまく入らないとき、無意識にコインの角度を変えるなど常に微妙な修復を加えています。

人のルーティンの体の動かし方は、一度動き出すとそのプログラムを遂行させるように連続性をもってある程度まで自動的に進んでしまいます。そのため、穴にコインが入らないケースは、コインを持つ手の動きをコントロールして急遽修復をできなくなった体の誤操作、つまり”エラー”と言えます。
最近の自動販売機は、それまで縦だったコインを投入する穴を横向きにしたりトレイ状にしたりするなどの改良をすることで、体の“エラー”が起きてもコインが入っていくような環境に整えたのです。
自動販売機とは違って、体の“エラー”が起きないような運動環境ばかり組んでいると、多様な感覚を統合して自分の動きをコントロールする力がいつまでも身に付きません。
子供は、それまでに経験してきた「似たような感じの動き」を思い起こしながら運動しているので、やろうとしてもぎこちない動きになったりできなかったりします。経験が少ない子供ほど自分の体の使い方が分からないため微妙な修復もできず、大まかな動きになってしまいます。
幼児がスプーンをぎゅっと掴んでいるのはそのためであり、1・2年生に「運動遊び」が設定されているのも同じ理由です。いろいろな動きを誘発する環境を設定するなかで、発生する“エラー”を許容したり“エラー”からの回復方法を示したりして、子供自身が体の動きに気付くようにしていきます。