「自分一人ぐらい…」社会的さぼりの克服

こども,子供の学び友達,学びに向かう力・人間性等,態度,技能,遊び

集団で活動する場合に、「自分一人ぐらい」という思いから、一人で活動するときに比べて発揮される最大能力が低下する現象があります。責任や成果が集団のものであるときは、個人のモチベーションに差が出るということです。

選挙権があるのに投票に行かないことも、その一つと言えます。理由として、「自分一人が投票に行ったくらいで政治は変わらない。」という考え方と似ています。このように、無意識に「自分一人ぐらい」というように考えてしまう「社会的なさぼり」が人間の本能にあります。

たとえば、1・2年生のリレー遊びで一生懸命で走るのは、結果の責任が自分一人にある場合が誰から見ても分かるからです。1チームが4人ぐらいの構成なので自己責任が明白になりやすいのです。そのため、「学びに向かう力・人間性等」の内容に「誰とでも仲よく」「勝敗を受け入れ」が含まれているほどです。

しかし、運動会で行われるような玉入れでは、そうはなりません。玉入れの場合、何十人もでチーム編成されるため負けてもその責任の所在が明らかになることはありません。結果もその責任も同じチームのみんなでで平等に分担されることが分かっています。そのため、無意識に「ちょっとゆっくりやっててもいいかな~。」「適当に投げちゃえ! こっちのほうが楽しいぞ。」「一個も入んなかったけど、みんなには黙っとこう。」という感じになってしまいます。

綱引きでも同様で、「友達がたくさんいるんだから綱を引いているふりをしても、誰に気付かれないはず。」というパフォーマンスにとどまるのです。ある実験では、2人で引っ張ると1人当たり93%しか力を出しておらず、5人ではそれが70%にまで減ってしまうことが分かりました。 メンバーの人数が増えれば増えるほど1人あたりの貢献度が低下し、みんながみんな、無意識のうちに他力本願になっていくようです。

これを克服する方法として、綱引きを応援してくれるチアリーダーを投入してみたところ、さて、どうなったでしょう。「がんばって~♪」と応援されることでモチベーションはグッと上がりました。しかも「〇〇さん! がんばって^^♪」と名前を呼ばれると、その呼ばれた人だけは、俄然、張り切ることも証明されたそうです。

学びでも、励まし合うことは、大切ですね。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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