かけっこのタイムを測る必要性は、あるか?

学習内容学習指導要領,思考力・判断力・表現力等,技能,走の運動遊び・走の運動,陸上運動系

ふだんは、同じリズムでひたすら一直線に走り続けることはあまりありません。右に左にとくねくね走ったり、急にストップして方向転換しながら走ったりすることがほとんどです。

子供たちは、それが、楽しいのです。鬼ごっこを見ても、いつもまっすぐ走っているわけではありません。いろいろな走り方は「体つくり運動」や「鬼遊び」など各領域で取り上げられます。

直線や大きいカーブの走り方は、陸上運動系の中で扱うようになりますが、子供は、運動領域の違いに応じて「走ること」を区別しているわけではなく、いろいろな走り方を楽しんでいるので、指導者のほうでねらいがぶれないようにします。

3・4年生の「かけっこ・リレー」や5・6年生の「短距離走・リレー」は、1つの単元の中で走ることと関連させてリレーまでを一気に学習します。ところでこの2つの内容は、5・6年生よりも3・4年生の方が走る距離が短いということだけでなく、もっと大きな決定的違いがあります。それは、なんでしょうか。

5・6年生の「短距離走・リレー」では、「競争や記録への挑戦の仕方を工夫する」ので、自分やチームの記録の伸びや、目標記録に到達することを目指して全力で走れるようにします。そのため、単元の1時間めにタイムを計るなどして自分やチームの目標記録を決め、課題解決を目指して走り方やチームのバトンパスの技能を磨いていく学習となります。

一方、3・4年生の「かけっこ・リレー」では、「動きを身に付けるための活動や競争の仕方を工夫する」ので、調子よく走ったりバトンをつないだりする楽しさを学んでいく中で、走る楽しさを味わいながら走る力が身に付くようにします。ここが5・6年生との決定的な違いです。

3・4年生の子供たちは、すぐにタイムを計りたがります。「〇〇さんより速かった! イエーイ!」ということに目が向きがちです。しかし、タイムを計ったから、それでOKというこtでは、3・4年生の学びにはなりません。29年版の学習指導要領の例にあるからと言って安易に「記録」の向上だけにならないようにしながら、いろいろな走り方やコースによって勝敗のルールを工夫するなどして「競走」を楽しめるようにすることが肝心なのです。

そもそも、学習指導要領の内容には「記録」については示されていません。それでも、29年版から例示に「記録」が示されるようになったのは、陸上運動系の特性に触れる機会として多様な学びの範囲が広がったという程度です。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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