勘が働くことで動きのコツが磨かれていく

子供の学び思考力・判断力・表現力等,技能

新しい技能を習得できるような授業をしようとするとき、「ああ、体育の教科書があったらいいのにな…。」と嘆いてることはありませんか。

運動学習の場合、教科書のようなマニュアルは、それに沿って進めると形式的で硬直した授業となる可能性があります。最初のうち子供たちは、「どうやるんだろう?」「次は、こうやってみようかな。」とぶつぶつ言いながら運動にチャレンジしています。そこで、5・6年生であれば教科書を見て動きのイメージを確認することはあるでしょう。

しかし、国語の教材を読み込む学習とは異なり絶えず自分との身体との対話を通してコツをつかんでいく学びとなる体育では、教科書とにらめっこしているわけにはいきません。動きのコツが少し分かったような感じになってくると、絶えず変化する複雑な状況に対応することが求められ、さらに熟練度が増してくるにつれて直感的に柔軟な状況判断が必要となってくるからです。そのため、次第にマニュアルは背景に遠のいて行きます。

人は、なぜまっすぐ歩けるようになったのか、なぜ自転車を乗りこなせるようになったのか、これらの習得過程を思い出すことが難しいのは、仮に書物で理論的に学んだとしても技能の習得は不可能だからです。数十年振りでも自転車に乗れるのは、身体がコツとして記憶しており、まだ「勘」が働いているからで、試行錯誤の中に「勘」を養い、自分なりの工夫を行してきた結果と言えます。

これらは他人に教わるものではなく自分が自分の身体全体を使って身に付けられるので、教科書で学ぶだけでは自分の学びにはなりえないのです。実際には、それまでの知識と運動経験の相互作用が必要になりますが、新しい技能は、自分の感覚すべてを使って「勘」を働かせながらコツが磨かれるのであって、教科書やマニュアルからだけでは限界があるのです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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