なぜ、体育では逆上がりをしなければならないの?

学習内容器械運動系,嫌い,学習指導要領,技能

スポーツテストに「連続逆上がり」があった時代は遠い過去になりました。

昭和43年版学習指導要領では、2年生の器械運動(当時の名称)に「さか上がり」が位置付いていましたが、昭和53年版では3年生、平成元年版では4年生に次々と“格上げ”されていきます。

平成20年版からは、3・4年生で「補助逆上がり」を、5・6年生で「安定した補助逆上がり」を扱うだけで、自分の力だけで行う補助無しの純粋な「逆上がり」は、基本的な技からも外れました。

50年前には2年生で取り上げていた「逆上がり」を、今や5・6年生でさえ発展技としてしか学習しない時代に変わってきているのです。

「できるようになっても、大人になってちっとも役に立たない」と言う人がいるほど、体育嫌いを生み出してきた元凶のような「逆上がり」ですが、それは、「技能」のできばえだけで評価される体育をやらされてきたツケが回ってきた結果です。

「逆上がり」では、ぶら下がったり逆さになったりする感覚を磨いて身のこなしを経験していく「技能」のほかに、友達と教え合ったり励まし合ったりする「態度」、どうやったらできるようになるのだろうと練習方法や練習の場を選んでいく「思考・判断」が、互いに絡み合うように学習していくところに、その価値があります。

平成29年版からは、それまで「思考・判断」に含まれるようになっていた「知識」が、「知識・技能」となり表面化したのをはじめ、「表現」の要素が加わったりするなど、資質・能力に基づいた3つに整理されました。

「逆上がり」に限らず体育では、この3つの内容を常にセットにして学習を進めていきます。「技能」だけが体育ではありません。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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