楽しいことを積み重ねた結果生まれたWの悲劇

学習内容学習指導要領,技能,指導者,運動遊び,陸上運動系

ラーメンとナポリタン。両方おいしいと感じていても、ラーメンの汁の中にナポリタンを入れて食べる人は、おそらくいません。Wにすることによる悲劇です。

しかし、とんかつにカレーをかけてしまうカツカレーは許せる人も少なくないことから、料理の組み合わせによっては、おいしく食べられる可能性もあります。Wにすることによる効果です。

1・2年生の「走の運動遊び」で段ボール数箱を低い障害物に用いてリレー遊びをするケースがあります。これは、いろいろな間隔に並べられた障害物を走り越えることと、折り返しリレー遊びを楽しむことが干渉しないので、Wの効果により楽しさや心地よさが引き出されます。運動遊びの場合は、これが、「いろいろな方向に走ったり、低い障害物を走り越えたりする」目標なのでWの効果が生まれるのです。運動遊びだからこそのWの効果といえます。

3・4年生の「小型ハードル走」でも、はじめのうちは、いろいろなインターバルの小型ハードルを同じコースに並べることがあります。ねらいが「いろいろなリズム」を求めるところに1・2年生との違いがあります。そのうち、「一定のリズム」が求められるので、一定の感覚に並べられた小型ハードルにより「一定のリズムで」「調子よく走り越える」学びになります。

ここで、楽しそうだからとリレーを組み合わせてしまうとねらいがぐちゃぐちゃになって、1・2年生の「走の運動遊び」と同じようになってしまいます。これは、Wの悲劇の始まりです。そもそも学習指導要領で「かけっこ・リレー」と「小型ハードル走」に分けられているので、これらを一緒に扱うことに無理があります。

5・6年生の「ハードル走」では、自己の課題に応じたインターバルや高さを選んで運動することになります。これにリレーを組み合わせてしまうのは、リレー中に一人一人に応じたハードルに置き替える作業をしなければならなくなり、論外です。

3・4年生での扱いでWの悲劇は起こりやすいので、目標を明確にして授業を作る必要があります。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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