系統性から年間指導計画を作る

学習内容ベースボール型,ボールゲーム,ボール運動系,学習指導要領,技能,指導者

各学校で作られる年間指導計画は、多くの場合は単元名の羅列なので、どのような系統性ある学びをしているか具体的には分かりません。

ベースボール型のゲームで考えてみましょう。

この運動の特性は、攻撃者の走塁と守備者のボール処理を競い合うことを楽しんでいると捉えることができます。この機能的特性を前提に、子供の発達段階や学習経験に合わせて各学年の年間指導計画を作っていくことになります。

1・2年生では、ベースボール型ゲームに発展することが期待できそうな易しいゲームを扱います。チームプレーが難しいので、チームを組んでも1対1の対決にしておくと子供にとって分かりやすいです。

この時期の子供は、手や道具で打つことは難しいので容易にできるキックでの攻撃がオススメです。キックしたあとカラーコーンなどで作った目印まで走るようにして、守備者がボールを処理して「アウト」にするまでの得点を競い合うようなゲームにします。また、ラグビーボールを使うとバウンドが不確実になるので、より面白くなります。

3・4年生では、チームを意識できるよう、はじめは守備者全員がボールを処理すれば「アウト」になるようにします。そのため、「打球をノーバウンドで捕ったら即アウト」のような野球ルールを適用しません。処理が早いほど相手の得点を低く抑えられることは、1・2年生で学習済みです。

手を使って柔らかい大きなボールを打ってみたり、短いテニスラケットを使ってぶら下がっているボールを打ったりするなど、攻撃しやすくなるような工夫をするといいですね。

走塁は、本塁と一塁間の往復が単純で分かりやすいですが、次第に三角ベースのように周回する走塁にすることもできます。

ただし、走塁の技能は、学習課題にはなりません。そのため、「どうやったら速く回れて、より多く得点できるか。」を「どこにどう攻撃したら、より多く得点できるか。」と、攻撃の行い方に転化して考えられるようにします。

5・6年生では、ティー台に乗せてバットで打ったり、味方がトスをしたボールをラケットで打ったりするなど自分の能力に合った攻撃の方法を選べるようにします。このとき、重さのあるボールを使うと、上手な子供ほどより遠くに飛ばす攻撃力をもっているので、技能差が生じます。

守備も、走者より前にあるアウトゾーンに、送球も含めて数名によるボール処理ができれば「アウト」が成立するようにしていきます。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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