即興的に動きたいから「4つのくずし」を入れていく
子供たちの動きは、未分化でいろいろクロスオーバーしています。それを学習指導要領では、めあての明確化という方向に基づいて運動を整理してきました。
学習する運動の多くは競争的であり達成的であり克服的です。工夫を普通に捉えてしまうと、「どれだけ高まった?」「どれだけよくなった?」「より上手に」だけの学習になってしまいます。
しかし、表現運動系と体ほぐしの運動は、比較・競争などの世界から隔離された学習です。
表現運動系の学習は、体が変わると心も変わってくるという方向性で捉えられます。非言語的なかかわりの有効性です。縄が無いのにあるように跳んで見える動きや悲しいシーンを涙を出さずに伝える動きなどが、表現運動系のおもしろさなのです。
1・2年生は、すぐにそのものになることができますが、それ以上の動きに発展しません。
例えば、アシカにはすぐになれますが、「体育館全体が海の中だよ」と助言しても最後まで床に這いつくばっています。それでも彼らには、即興的にやる中で適当に繰り返せる発達的特性があります。
3・4年生になってくると「友達の動きにそろえなくちゃ恥ずかしい」という思いが入ってきてしまいます。 へそが弾むという動きができると、いろいろ動きが出てくるようになります。
ただ手足を動かすというだけではダメで、へそが弾み、ノリを楽しむために「くずし」を入れていきます。体のくずし、リズムのくずし、人間関係のくずし、空間・場のくずしです。この4つの「くずし」を理解して即興的に踊ると心の「くずし」もできるようになってきます。