「型」に応じて学ぶチーム同士での競い合い
ボール運動の領域は、一般的にスポーツと呼ばれる公式競技を、ただ単に簡易化したものを学習させるのではありません。児童の発達の段階を踏まえることが大切です。
平成20年版の学習指導要領から、「種目」から「型」による学習内容(攻め方や守り方の特徴に応じた戦術学習)になりました。しかし、従前から改善されていない授業も見られます。つまり、バスケットボールを教える授業のままで、ゴール型の例としてバスケットボールを取り上げた授業へ変わっていない現状もあります。
特に、バスケットボールの経験者だったり熟練していたりする先生にとっては、「当たり前」と思っていたスポーツとしてのバスケットボールの世界観を子供の立場に立った「型」としてリセットすることが、難しいのかもしれません。体育の授業があまり得意でない先生も「なんとか、バスケットっぽくしないと・・・」と焦ってしまうこともあって「型」で捉えることができにくいのかもしれません。
ボール運動系は、「攻めやすいところを見付ける」ことからスタートし、それを集団対集団の攻防によって競争することで楽しさ味わう運動です。相手チームと何を競い合っているのかといえば、技能としては「ボールを目的地に運ぶ」又は「人が目的地に行く」及びそれらの両方となります。
「ボールを目的地に運ぶ」のは、最終目的はシュートを決めるかシュートを打ちやすいエリアに運ぶ(ゴール型)、相手のコートに落とすか攻撃しやすいネット際にボールをつなぐ(ネット型)、守備のいないところに打つかランナーより速くボールを投げる(ベースボール型)などがこれに当たります。
つまり、「パス」や「つなぐ」という「ボール操作」は、目的でなく「ボールを目的地に運ぶ」ための手段にすぎないということです。 「人が目的地に行く」のは、ランナーとなって次の塁を陥れる(ベースボール型)ほか、宝取り鬼などで宝をゲットする(鬼遊び)やゴール型におけるタグラグビーやフラッグフットボールにもこの要素が見られます。
「人が目的地に行く」ことで得点となることは、シュートやアタックを決めることによる得点に比べると「ボール操作」をしないですむので、比較的平易な技能と言えます。そのため、「攻めやすいところを見付ける」ことが誰にでもできそうな鬼遊びは、その典型ですね。
なお、3・4年生のゲームは、ボール運動に先んじて、平成10年版の学習指導要領から「型」で内容が示されるようになっています。この時点でそれまであったポートボールやラインサッカー、ハンドベースボールは内容から消え、「例示」のみになりました。