バレーボールの技能は、どこまで求めるべきか

学習内容ネット型,ボール運動系,思考力・判断力・表現力等,技能

テニスから発展したバレーボール。バレーボール(Volleyball)のVolleyは、ボールが地面に落ちないうちに打ち返すボレーのことで、テニスではおなじみの言葉ですね。バレーボールは「落としたら負け」という単純なルールがそもそもの始まりでした。

しかし、ネット型のゲームとしてソフトバレーボールなどを体育の学習に取り入れると、スポーツが得意な指導者ほど本物のバレーボールに近いほうがよい授業だと錯覚しがちになります。「正確なレシーブから優しいトス、強烈なスパイクができるように子供たちを育てた方が、よい授業」であり、「そのような子供たちに育てた自分こそが、よい指導者」と考えるようになります。そのため、そこからの発想で授業を組み立ててしまいます。まるで、中学校の部活動です。

そうなると、「アンダー・ハンドのレシーブは、こうやって手を組んで構えて…」という技術指導から始まって、「必ず3回で相手に返球する」という本物志向のルールを単元のはじめから提示してしまうようになります。このようなゲームの様相を提示された場合、いくら、ボールを柔らかく軽いものにしたとしても、技能が難しすぎて多くの小学生は学習になりません。

そもそもこうした「拾う、打つ、つなぐ」は中学校3年生の学習内容です。中3といえば、球技からネット型を選択して履修できる学年なので、バレーボールを自ら選択して履修する生徒の学習内容が「拾う、打つ、つなぐ」であると言えます。

バレーボールは「落としたら負け」のゲームなので、その面白さは、「自分たちがボールを落とさないうちに相手のコートに返す」ところにあります。子供から見たネット型の特性、つまり、ネット型の面白さは、ここにあります。

したがって、ボールをあたかも時限爆弾に見立てるような感じで相手チームに押し付けたいところ、それが互いにうまくいかずハラハラドキドキしている状況を楽しみながら競い合うことになります。なるべくなら1回で返球してしまいたくなる特性があるゲームとも言えるのでいえるので、ネットに近いところにいる子供同士が1回で返球するようなプレーがよく見られます。 つまり、端っから「3回つないで返球しよう。」という腹づもりが子供にはないのです。

3・4年生でネット型ゲームを取り上げるときはラリーが続くゲームとなるよう、プレルボールなら「いかに打ち続けるか」、ソフトバレーボールなら「すべてキャッチしてでもいかに拾い続けるか」を学習の中心としていきます。ラリーがある程度続くと、ハラハラドキドキも続くからです。

5・6年生の場合は、チームの触球数を3回にして2回目に触球するプレーヤーだけがキャッチできるルールにするなどを子供が考えられるようにして、相手が取りにくいような返球をするにはどう攻めるかを次第に考えられるようにしていきます。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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