指導者には、安全に配慮する義務がある

マネジメント・直接的指導,教師行動安全,態度,指導者,支援

体育の運動学習は、体を動かしてなんぼの世界なので、どうやってもけがのリスクを避けられません。子供は、大人に比べて相対的に頭部が大きいため、そもそも転びやすいのです。

安全面は最優先とすべきですが、それをあまりにも前面に押し出しすぎてしまうと、運動そのものができなくなり、体育の学習として成立しなくなるので、どのあたりで加減するか、その手腕が問われます。

子供は、平らな直線を走っているだけでも転んで膝をすりむきます。ボールをキャッチしようとしただけなのに突き指をします。相手の腰についているタグを捕ろうとして友達同士お互いの頭がごっつんこします。このようなけがは、避けることができません。

指導者が、一人ずつ走るところを見ているわけにもいかず、子供たちがボールをキャッチする瞬間をいちいち見ることは不可能です。順番に一人ずつ走ったり一人ずつボールをキャッチするような授業は、ありえないですからね。また、ゲーム中のタグを取り合う場面は、コート内のあちこちで同時多発的に起きているので、いっぺんに見られるはずがありません。たとえ、指導者の目に入ってきた場面が「頭をぶつけそうだ。 危ないっ!」と分かったとしても、そこから「STOP!」と言ったところで動きが止まるはずがなく、どうにもなりません。

けがが起きないようにするため指導者には配慮が必要になります。1・2年生に100m走らせたらよろけて転んでしまうかもしれないので配慮、技能が十分でない子供に重たいボールを使わせたら突き指になる可能性が高まるので配慮するなど、けがをしそうだと分かっているならそれを回避できるような学習環境を整えなくてはなりません。ゲーム開始前に「ぶつからないように気を付けてね。」と言うだけでも配慮です。

このほか、危険が予測されるような高さの跳び箱を使ったり、クラスの全員に発展技を経験させたりするケースなど、学習環境と運動内容にどのようなけがのリスクが存在するか常に考えて指導しなければ、安全に対して配慮しているとは言えません。けがのリスクが高いと分かっている騎馬戦やピラミッドを運動会でやらなくなったのも、予見できていたのに敢えて挑戦させるという安全配慮義務違反が違法行為になるからです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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