従前の「基本の運動」の趣旨とは、何だったのか

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むかしの学習指導要領では、体育における運動のもつ意味は単に体力つくりや人間形成の手段だけにとどまっていました。

しかし、昭和52年の改訂で、「運動種目に基づく学習は低・中学年の児童にとって困難」とされたため、新たに「基本の運動」という運動領域が誕生しました。「基本の運動」には、体操(当時の名称)や器械運動、陸上運動、水泳、ダンス(当時の名称)等、それまで行われてきた様々な運動種目が組み込まれることになりました。

そこには「運動の楽しさを味わえるようにすることこそ、体育の学習だ」という考え方の大きな転換が、あったのです。特に低・中学校年の子供の発達的特性がどんなものであるか、その実態の捉え方が重要でした。

「基本の運動」の趣旨は、児童にとって何を課題とする運動かが分かりやすく、それによって運動の楽しさが特徴付けられることです。また、児童の生活や発達からみて基本的に必要であり価値が高いと考えられる運動で、一部に偏ることなく、児童の生活にある運動や遊びとの関連を考えて楽しさを求められる運動ということでもあります。

低・中学年では、運動種目の課題を追求するため特定の技能を手段として使うことが心身の発達の状況からできにくいため、課題を追求する活動そのものの中に意味を見出すように創られた運動領域でした。

平成20年版から運動の内容が系統性で整理され、約30年間続いた「基本の運動」は、その姿を消しました。入れ替わるようにして誕生した「体ほぐしの運動」は、「基本の運動」の考え方に基づいています。

低・中学年の発達的特性を考えて創られたはずの「基本の運動」の趣旨を含んだ「体ほぐしの運動」が、低・中学年だけでなく高校生に至るまでの全員に必要となる時代になったのです。

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