メリハリのあるひと流れの動きで踊る
表現運動系では、自己の心身を解き放して、イメージやリズムの世界に没入することが、主な運動の特性となります。その中で、互いのよさを生かし合って仲間と交流して踊ることが楽しい運動です。
1・2年生の表現遊びは、楽しさを中心に進みます。身近な動物や乗り物などの題材を使うことが多いです。
ライオンをやって「ガオーッ!」と声を出しても怖そうな表現にならず、ジェットコースターで走りまわるだけのスピード感ばかりが強調されてスリル感も薄くなりがちです。楽しさが前面に出るところに1・2年生の発達的特性を見い出すことができます。
一方、3年生以上が学ぶ表現運動では、題材の特徴から緩急や強弱などの動きの変化を工夫することが重要になってきます。
例えば、3年生で「探検」を扱うときには、ジャングルの中に恐る恐る入り、ツルツルの丸太の上を滑らないように進み、トラに出会いそうなときには動きを止め、宝物を発見した時は全員で歓喜のポーズをとるという具合です。
ちょっとした誇張や変化を付けてイメージが膨らむようにし、局面の動きにメリハリをつけて、ひと流れの動きで踊れるようにしていきます。 メリハリとは、緩急や強弱などのことで、速さの変化や強さの変化を付けることを意味しています。子供自身が「メリハリがどのようなものであるか」が体の動きとして分かるようにしていかないと、取り上げる題材が違うだけで表現遊びの動きと同じになってしまいます。
この3・4年生での学習が転移して、5・6年生で「火山」や「台風」、「花火」、「沸騰」などを題材としたとき、メリハリのある動きがもとになり、「はじめ-なか-おわり」というひとまとまりの動きとなって現れてくるのです。