体つくり運動「系」って、烏合の衆とも言える?

学習内容体つくり運動系,体ほぐしの運動,多様な動き,学習指導要領,指導者

体つくり運動系の内容は、ほかの運動領域と違って、どんな動きが身に付けられればいいのかピンときません。陸上運動系であれば、「リズミカルにハードル走ができればいいんじゃないかな。だから、1年生のリレー遊びでは・・・」という技能の具体的な系統性が形として思い浮かびます。

「多様な動きをつくる運動」と「体の動きを高める運動」との動きの系統性はどこにあるの?と聞かれても、何だかスッキリしません。扱う運動に、ばた足とクロールのような系統性や、開脚前転などのような特定の技能がないために、ゴールイメージが指導者に湧きにくいのです。

その要因の一つは、「多様な動きをつくる運動」と「体の動きを高める運動」の目標が、それぞれ明らかに違うことにあります。「多様な動き…」の目標は、「基本的な動きを身に付ける」であり一方の「体の動き…」の目標は、「体力を高める」ですから、この時点で、同じ運動領域の中に「系」として括ることに無理があります。

また、「多様な動き…」は、他の領域で扱われにくい体の様々な動きを取り上げる、いわば、寄せ集めで構成される内容なので、何でもアリという状況になってしまうのです。

そこに加えて、そもそもどんな動きが身に付けられるようにするのかを問題にしていない「体ほぐしの運動」がくっついているという“烏合の衆”なのです。体つくり運動が「系」として理解しにくいのは当然です。

「体ほぐし…」と「多様な動き…」「体の動き…」を結び付ける唯一の接点は、自己の心身に関心をもったり、自己の心身と対話したりすることと言えます。そう考えると体つくり運動系としてのまとまりも見えてきそうです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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