即興的に表現した身近な動物の動きの評価
2年生が描いた消防車の絵があります。どちらの絵によい評価を付けますか。
見た目は上手だと思える①のほうが評価が高くなり、一方の②は、①よりも下手と評価するか、あるいは、「どう評価していいのか分からない」のではないでしょうか。
絵は自分の思いを表現するものとして子供たちは描くので、その善し悪しは思いをいかに表現できたかがポイントです。本物そっくりだからA、変な形だからCということになるのは、その絵を見た人が何を観点にして評価しているのかによります。「自分の思いを表現できている」が評価規準なら、「いろいろな装備がある消防車を見て、そのカッコよさと力強さに感動して描いた②の方も高評価となるかもしれません。
表現遊びでは、身近な動物の特徴を捉えて、そのものになりきって即興的に踊ります。頭でデジタル処理せず、感じた動きの特徴をそのまま全身で表に出すことが表現遊びです。「全身」がひとつのキーワードでもあり、その動物の特徴を捉えることの積み重ねこそが創造性を育むことにもなります。
自分の胸をたたいてウッホウッホしているゴリラ、口をとんがらかせてくにゃくにゃしているタコ、頭の横に両手を出して両足でピョンピョンしているウサギ。これらの動きに、子供のイメージした動物の世界に没入してなりきっているか、はたまたマンガや空想の世界で描かれている動物のキャラクターを演じているだけなのかを見極める必要があります。
「開脚後転」のように一定の方向に技の質を高めていくような「正しいゴリラ」「正しいタコ」としての方向性があるわけでないため、表出する動きは、おそらく無数にあります。それがまた、表現遊びの魅力の一つでもあるのですが、そうなってくると、子供たち同士が互いの即興的な踊りを見て気付いたり感じ取ったりしたことを伝え合えるコミュニケーションも大切になってきます。「マンガに出てくるウサギに似ていないから、ダメ」ということにならないようにしなくてはなりません。