「両足をそろえる」「両足をそろえない」やりやすい後転は、どっち?
マットの学習で「両足をそろえた後転」は、小学校のいずれの学年にも示されていません。
「両足をそろえた前転」についても同様です。中学校学習指導要領解説には、前転について「その動き方は、両足をそろえたしゃがみ立ちの開始姿勢から、…、再び両足をそろえたしゃがみ立ちの終末姿勢になる」とあります。小学校では、前転にしろ後転にしろ「両足をそろえる」ことは、さほど重要ではないということになります。
しかし、前転や後転に入る前に子供たちがお行儀よく両足をそろえてしまうのは、「足をそろえてから始めるんですよ。」と指導しているからです。試技の終末も「足がそろっていないよ。」などと友達同士で伝え合うようにしているからです。これは、指導者に「両足をそろえたほうがかっこいい」というイメージがあるため、それを小学生にやらせているだけなのです。
「両足をそろえた後転」は、「両足をそろえない後転」よりも難しい技です。マットの上に両足をそろえてしゃがんだまま後ろに回転するよりも、立ったまま後ろに2~3歩すすみながらそのまま後転に入ってしまう「両足をそろえない後転」のほうが、伸びている片足を使って回転のスピードをつけられるからです。
このことは「ゆりかご」でも確認できます。両足をそろえてしゃがんでから「ゆりかご」に入るより、立った姿勢から足を一歩後ろに下げるようにして「ゆりかご」に入った方が、回転のスピードを感じやすいです。
器械運動で学ぶ後転は、1・2年生のマット遊びで学習する「両足をそろえないゆりかご」からがスタートです。「どういうときにクルッとした感じになるか」をいろいろな転がり方で遊びながら経験していくことが大切になります。