小5ギャップがある学習指導要領のつくり

モニタリング・相互作用,教師行動嫌い,学習指導要領,技能,指導者,発達

小学校では5年生ともなると、急に高学年の仲間入りです。しかし、4月に5年生になったからと言って、すぐに高学年らしい思考や行動になることはありません。

個人差はあるにせよ心身ともに少しずつ子供から大人へと成長していく時期で、思春期を迎えようとする時期でもあり、心や体にさまざまな変化が見られるようにもなります。自我の芽生えと同時に人の目が気になったり、人と自分を比べたりし始め、友達とのトラブルも起こりやすくもなりますが、「はい、今日から5年生ですよ!」と意識付けはするものの、その日から一気に高学年らしくなることはないのです。

体育科の学習指導要領は、平成元年版から低・中・高の3段階で目標及び内容が示されるようになりました。学習指導に弾力性をもたせることに配慮したためです。それ以前の昭和53年版にも、基本的には低・中・高の3段階に区分する考え方がありましたが、学年の目標だけが2学年ごとに同じで(ただし、5・6年生の保健領域のみ異なる目標でした。)、内容は学年ごとに若干の違いが見られました。その当時、学習指導要領の記載事項は、当該学年のゴールだったのですが、平成元年版からは、偶数学年の最後の到達目標となる姿が学習指導要領には記載されていることになります。

過去に存在した「基本の運動」や「ゲーム」領域に代わって「器械運動」「陸上運動」「ボール運動」などに運動領域の呼称が大きく変わる時期が5年生からになっていたため、急に「技能中心」「競技志向」という考えになってしまう指導者が多く見られます。しかし、5年生になったばかりの頃は、まだまだ高学年の“助走”の期間と捉え、「できない」ことに対する自己嫌悪感を抱いて小5ギャップにならないよう、4年生までと同様、「もう少しでできそうな課題」にチャレンジしていけるようにしていくことが大切です。

なお、2年生まで「運動遊び」を学んできた3年生が、同じような理由で小3ギャップに陥ることもあるので、注意が必要です。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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