ゴール型にゴールキーパーは必要か?
相手のゴールに向かって攻撃するサッカーは、自分のゴールに得点するバスケットボールとともに、「ゴール型」に位置付けらます。
「ゴールに向かってどのようにボールを運び込むか」を競い合うゲームで、5・6年生の学習指導要領では、攻撃側が有利なルールで簡易化されたゲームを指導します。
サッカーが得意な子供に合わせたゲームにすると、どうなるでしょう。多くの子供がボーッと立ったままで、近くにボールが来たときにだけ動くというゲームになってしまうでしょう。そのため、「ボールを持たないときの動き」をだれもが遺憾なく発揮できるようなゲームの提示と指導の工夫が必要です。
自分のチームがボールを保持しているときには、「ボール保持者と自己の間に守備者が入らないように移動する」技能を身に付けやすくします。そのために、攻撃側プレーヤーの数が多い状態を作り出したり、守備側のエリアを制限したりするなどして、攻めやすいゲームにします。
バスケットボールでも同じように指導するので、子供が「ボールの扱いはバスケとは違って難しいけれど、攻め方は同じでいいんだ」と「ゴール型」の特性に気付くようになります。このことで、チームの作戦や自分のめあても立てやすくなります。同じ運動特性があるバスケットボールで身に付けた学習内容が、サッカーの学びに転移するのです。
なお、ゴールキーパーについては、高等学校の学習指導要領でさえも示されていないので、あえて役割を設けて経験させる必要はありません。「でも、サッカーなんだから、キーパーが必要でしょ。」という指導者もいますが、学ぶべきはスポーツとしてのサッカーでなく簡易化されたゴール型としてのサッカーです。
ゴールキーパーの代わりに、相手チームがボールをキープしているときの守備側の「ボールを持たないときの動き」として、「ボール保持者とゴールの間に体を入れて守備をする」動きができるように学びを促していく指導をすることになるでしょうね。