学習指導要領に1回も載ったことがない「徒競走」って?

学習内容学習指導要領,走の運動遊び・走の運動,陸上運動系

運動会ではなじみの「徒競走」ですが、過去に学習指導要領に一度も記載されたことがありません。つまり、学習内容として「徒競走」は、正式に存在したことがないのです。ん? それを運動会では、取り入れているの?

「徒」の意味は、「足」のことです。武士の時代に馬に乗れなかった下級武士を「御徒」と呼びました。この武士たちは江戸城に参集するときに自分の足で向かうしかありませんでした。この「御徒」が多く住んでいた地域が「御徒町」です。

つまり、「徒競走」は、「自分の足で走って競い合う」ことを意味している言葉です。カーレースや競馬は、自分の足で走らないので「徒競走」とは言わないのです。そうなると、「徒競走」とは、かけっこや短距離走だけでなく、持久走、長距離走、ハードル走、リレーなどを含む言葉ということになります。たまたま、運動会で見るあの競技を「徒競走」と狭義に捉えてしまっているだけです。

これまで学習指導要領に「徒競走」が存在しなかったのは、「徒競走」ではどんな「走」なのか分からず、目標が明確にならないからです。そのため、学習指導要領には「かけっこ」「短距離走」「ハードル走」など、具体的な「走」の動きを記載したのです。

しかし、「走」ならなんでも「徒競走」かというと、そのようなイメージも湧いてきません。

多様な動きをつくる運動遊びで扱うような「くねくね走」などは、子供にとって「かけっこ」の仲間でありながら、大人側の都合で陸上運動系には含まれず、体つくり運動系になっています。これは、「くねくね走」のような走り方は、競走を楽しむだけでなく、走る動きそのものに楽しさを求める「運動遊び」としての特性があるからです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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