楽しく歩くことも学びです
幼児の歩き方には、大人のそれにはない顕著な特徴があります。着地時に足裏全体が地面に着く歩き方で、かかとからつま先への重心移動も見られません。
そのため、腕を振って元気よく行進するような歩き方ができず、左右に体重移動しながら「よちよち」と前進する方法をとらざるを得ません。このときの腕は、体全体のバランスをとることだけに集中して使われています。
そのため、「スタスタ」と大人が歩くときのように左右逆の手足が前に出ることはありません。右足が前に出れば右半身も前に出るような「トコトコ」という動きになります。
しかし、このような動きは、歩き方としては幼児だけのものであっても、竹馬乗りや剣道での踏み込み、阿波踊りなど、大人の運動に現れてくる動きでもあります。ちょっときつい階段や山登りのときに「よっこらしょ」と言いながら(言わなくてもいいですが)1歩動くときが、これです。
体育と聞くと走ったり跳んだりのイメージが強いですが、すべての学年で「歩く」指導をすることになっています。授業の中で、いつ、どのように取り上げればいいのでしょうか?
1・2年生では、運動遊びの趣旨を生かしていろいろなコースを歩いたり、姿勢を低くしたりして歩きます。3・4年生では、いろいろな動作やポーズをつけながら歩くほか、かかと歩き・つま先歩きなど歩き方を工夫できるようにします。
5・6年生では、体ほぐしの運動としての扱いが中心となるので、ただ「歩く」だけでは楽しくなりにくい集団行動としての行進につながる動きを、友達とタイミングを合わせて歩いたり列を崩さないように歩きながらすれ違ったりするなどの課題で、楽しみながら「歩く」ことを身に付けていきます。