肚(はら)で考えることで動きをつくる文化

こども,子供のからだ体つくり運動系,体の動きを高める運動,多様な動き,技能,表現運動系,身体

時間が速く流れていく現代において、いちいち自分の身体を意識している機会も少なくなりました。

古来より、日本で身体の中心を指す言葉として重要視されてきた丹田(たんでん)。道教の用語である丹田は、生物学的な身体の中心であるだけでなく人間のもつエネルギーの中心となる場所を意味し、「腹を割って話す」「腹におさめる」など日本人は物事を腹(肚)で考え、捉えてきました。

丹田の両側には、下半身と上半身をつなぐインナーマッスルが存在しています。世界で活躍するトップアスリートや、美しい姿勢で歩く世界的なスーパーモデルは、ほぼ例外なくこの筋肉を使いこなしています。丹田を意識し、丹田を中心とした動きは、本人だけでなく、見る人にとっても何かいい感じがするのです。

貝原益軒も、その著書養生訓で「臍の下三寸を丹田という」とし、ここには生命の根本が集合していると説いています。そして、「肚に力を入れる」という意味は、腹筋運動の時の力の入れ具合を再現するのではなく、「意識で沈めるから力が入るのである」と説明しています。

「腰を落とす」「足を踏ん張る」などは単なる見た目の形でしかなく、動きの力強さやしなやかさなどを見る人に訴えることができるのは、丹田を意識して運動したときなのです。

丹田の考え方を活用しているのは、主に武道や武術、日本舞踊、能など日本の伝統文化の世界です。これらの世界では、丹田は上達のカギを握るたいへん重要な存在であることが知られています。

表現運動系の指導で丹田を意識するよう促すことは、その表現力を増やすための一つの方法と言えそうです。もちろん、子供には「丹田が弾むように意識して動かすんだよ(^^♪」と言っても通じないでしょうけど・・・。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

最新ヒントのメール配信をご希望の方は、こちらから登録できます。