目の前にあるそのボールは、蹴りたい気分にしてくれますか?
ボールが目の前にあるとき「転がしたい!」と思うのは、転がした経験があって、おもしろかったからです。

ボールのような丸いものが転がっていくところを見た経験があったり、そして、その転がっていくさまをおもしろいと感じた経験がある場合などが考えられます。丸い形状のものが「転がせる」ことを知らないと、ボールを見ても転がしてみたくなる思いは発生しません。そのおもしろさや楽しさを知らないからです。
さて、ここにドッジボールがあったとします。ボールに関心がなければそのまま放ったらかしにしておくでしょうが、ボールで遊びたい子供はどうするでしょうか。
転がすだけでなく、拾ってドリブルする、どこかを的に見立てて投げる、ポーンと蹴っとばすなど、そこには多様な遊びが発生します。友達がいれば投げ合うこともできるので、遊びの幅は格段に広がります。では、これがサッカーボールのようなデザインだったらどうなるでしょうか。
サッカーボールを蹴ってみたくなるのは、「そのデザインは蹴るボールだ」という認識が当事者に何となくあるからです。見た目の認識から、どこかを的に見立ててサッカーボールを投げるような遊びや互いに投げ合うような遊びは誘発しません。
そのボールの近くにバスケットのゴールがあってもシュートをしようという雰囲気にさせないデザインなのです。でも、サッカーゴールっぽいものがあれば、蹴っ飛ばしてシュートしたい気分になんとなくなっていくのです。
一方で、ボウリングのボールが転がっていたら(まあ、ふつうは、転がってませんが…)、これを「蹴ってシュートしたい!」と思うかどうか、です。見た目は、ちょっと堅そうにも思えるので、「やっぱ、蹴るの、やめとこうかな」という気持ちにもさせられます。
子供に与える「ボールが発する情報」の違いから運動が変わってくることは、どのような教材をどのように子供に提示するとよいかのヒントになります。