カマキリは、ヒトの瞬きより速く獲物を捕まえることができる

子供のからだ技能,発達,遊び

陸上競技では、ピストルが鳴ってからスタートするのをできるだけ速くすることが大事です。

110メートル障害の元日本記録保持者であった金井大旺選手は、号砲への反応が0.099秒というすごい記録を持っています。スターティングブロックに圧力が加わればセンサーが反応する仕組みになっている陸上競技で、音を聞いてからたったの0.099秒というすばらしい技術ですが、これは、フライングでした。

このルールは、人間が音を聞いて体を動かすまで最低でも0.1秒はかかるという医学的根拠から成り立っています。

音が耳に入って神経から脳に達し、脳から体の筋肉に指令が伝わる時間が、少なくとも0.1秒かかるはずで、それより先にセンサーが反応したということは、金井選手が「音を聞く前にスタート動作を始めていた」と判断されてしまったのです。ルールより0.001秒速く動いたと判定された金井選手でしたが、素晴らしいスタートを切ったかに見えたこのレースでは、失格となりました。

人が、目に光などの刺激が差し込んだときの瞬きや、熱いものに触ったとき「熱っ!」と手を引っ込める動きでも、0.1秒を切ることはできません。それが人間の反射能力の限界なのです。瞬きで、まぶたが完全に閉じるまでの時間は0.11秒とされ、再び目が開くまではまぶたの往復で約0.3秒かかるのだそうです。

転びそうなとき手が出ずに顔面をけがしてしまうのは、認識→判断→動作を経由しての指令の流れとなるため、反射よりもさらに時間がかかるからです。

なお、カマキリが獲物をつかまえるスピードは、約0.05秒です。金井選手よりも速く動き出す能力を持っています。そのため、カマキリの射程距離に捉えられてから「やばい!」と気付いても、時、すでに遅しです。そのスピードに人間は当然ながら太刀打ちできず、逃げる間もなく餌食となります。

ただし、「自分のカマのサイズとは、大きさが合わない」と認知できているカマキリは、人間を襲いませんが…。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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