動画を見ただけで「やってみよう」という気持ちになる子供の学びの状況
主体的に運動を学ぶ時には、まず「やってみよう」という気持ちになることから始まります。
「できる」動きをいろいろな条件下でもできるようにすることに挑戦するレベルの子供にとっては、学習課題を見出そうとするための「やってみよう」の前に備わっているであろう心情があります。
実際にうまく「できる」動きは、力を入れる感じをあらかじめイメージして頭の中で準備しておき、それによってタイミングよく力を入れています。動きが「できる」状態になるためには、いつ、どこで、どのように、どの程度の力を入れたら「できる」のかという動きのリズム化が自分の中で図られることが大きく影響しているのです。
実際の動きを見ると、身体の動かし方と力の入れ方とがうまくかみ合っていない子供がいます。偶然にも初めてできてしまったような場合、力の入れ方がぎくしゃくしていたり、余分な力を入れすぎていたり、必要なところで十分に力が入らなかったり、ぎこちなかったりするものです。
このような場合、まだ、リズム化が不完全な状態なだけなのです。動きが「できる」ことが身体で「わかる」に至っていない子供は、いくら映像や連続図で技能ポイントの説明を受けても、どのように動くのかという感じにつなげることができず、「できるような気がする」から「やってみよう」に学びが展開されません。
しかし、「できる」子供は、自分の身体でその動きのコツが「わかる」ので、それをもとにして、動画や連続図などに自分の感じを重ね合わせて見ることができます。
このレベルの子供の「やってみよう」は、安定している動きや即興的な動き、周囲の気配を感じて状況に応じた動きなど、動きと一体化した心の持ち方への志向状態の前に存在していると言えます。