的に当てたくなるゲームを提示する理由
1・2年生のゲームでは、的当てや蹴り合いなどを個人対個人や集団対集団で競い合います。
「的をねらって投げたら、当たる!」という動物としての本能をくすぐられる楽しさを、一人一人が経験できるようにするため、「たとえディフェンスがいても、誰もが的に当てやすいゲーム」を初めから教材として提示しておく必要があります。
そのためには、「こうやって投げたら、ねらったところに投げられる」という経験が、遊びの中で必要です。「せっかく当たりそうだったのにじゃまされた!」という「敵がいる状況」は、少し後の段階になります。
そもそも、的にあまり当たらないようなゲームの様相では、攻め方を見付ける「思考・判断」の学習が成立しません。そんなゲームの提示は、子供の学びを奪っていることになります。
特にドッジボールのときに逃げ回ることだけが得意な子供は、自分でねらって投げる経験が少ないです。そのため、いずれパスができない、捕れない子供になっていきます。ドッジボールが学習指導要領から消えたのは、ターゲットにされることがいじめを助長するという以外に、ボール運動系の技能に発展しないこともあったのです。
競技スポーツに見られる「1個のボールで競い合う」ゲームでは、守備もボールにある程度集中するため的に当てにくくなります。そこで攻撃側が一人1個ずつボールを持つようにすれば、守備が破綻するので、的に当てやすいゲームとなります。
それでもマンツーマンになる可能性もあるので、攻撃4人守備2人など、最初から攻撃側が有利な人数にしておくと攻撃のチャンスは膨らみ、いっそう的に当てやすくなります。2~3ヶ所に的が分かれていたり、大きな的だったりするとさらに的に当てやすいゲームとして提示できます。
そして、単元後半には、それまで4人で4個あったボールを減らしていく方向に規則を工夫できるよう誘導し、「どうやらパスをしたほうが、うまくいきそうだ」と気付かせていきます。