「飛ぶ」といっても、その飛び方に違いがある
人間には、羽が無いので「飛ぶ」ことはできません。せいぜい「跳ぶ」だけです。

羽がある動物は、「飛ぶ」ことができますが、その飛び方には様々な特徴があります。「パタパタ」「ビューン」「ブンブン」など、その特徴をイメージできるようなオノマトペも数多く存在し、何がどのような特徴をもって飛んでいるところなのかが思い浮かびます。
「ヒラヒラ」は、蝶が舞っているような感じの動きのイメージをもちやすい言葉です。花の近くに来た蝶は、「蜜を吸ってもいいですか?」と花に同意を得るように「ヒラヒラ」飛びます。離れるときも「ありがとう」と言っているように「ヒラヒラ」と次の花へ飛んでいきます。蜜を吸う蝶と花粉を運んでもらう花の利害関係が一致しています。
「バッサバッサ」「ビューン」は、鷲や鷹のような猛禽類の飛び方をイメージできます。大きくゆっくり羽を動かしながら、獲物を見付けるとグライダーのように滑空しながら飛びます。獲物をGETした後は、「どうだ! 文句あっか?」と言わんばかりにその場を颯爽と飛び去っていきます。ミミズをくわえたスズメが、あわてて「パタパタ」と逃げていくような飛び方とは、イメージが違います。
宮沢賢治は、小説「グスコーブドリの伝記」の中で「いろいろの鳥が、……まるで挨拶するように鳴きながらざあざあざあざあ通りすぎるのでした。」とたくさんの鳥が飛んでいる様子を表しています。ここまでになると表現遊びのイメージにはつながりにくいです。
表現運動系では、分かりやすい動きの特徴をいかに提示できるかがカギを握っています。