運動が苦手な子供にICT機器が学びをサポートする
学習指導要領には「教える」でなく、「伝える」が内容として示されています。もし「教える」ことを身に付けられるようにするのだとすると、運動が苦手な子供にとっては、かなり困難です。かかえこみ跳びができない子供が「教える」ことは、技能ポイントが分かっていてもできないからです。
「運動ができない子供が『教える』なんて、できないでしょ。だから、異質のグループ編成は、無理」という指導者がいますが、それは「教える」を目標に設定してしまっているからこそ生じる結果です。でも、「伝える」なら、誰にでもできそうですね。
この時こそ、ICT機器の出番です。ICT機器を使えば友達の映像を取り込んで動きを確認することもできます。「ほら、ここ、踏み切りがちょっと、遠いよ。」と、友達の動きを事実として「伝える」ことができます。
運動が苦手な子供でも、技のポイントを知っていれば、自分がうまく運動できないことはあっても、友達に「伝える」ことは結構じょうずにできるのです。技ができないという悩みがあるからでしょうか、友達の動きをよく見ようとする習慣がついています。
逆に、運動が得意な児童は、「踏み切りをもっと勢いよく、バーン!とやるんだよ」という、「教える」ような行動に出たがります。運動が得意な子供が、必ずしも言語活動能力や友達の動きを観察するが高いとも言えないので、「踏み切りをバーンとやる」と言われた友達は、「そうなんだろうけど、『バーン』の感じが、よく分からないんだよ…」という感じになりがちです。
過去の体育の授業では、つい、運動ができる子供がクローズアップされがちでした。しかし、ICT機器を積極的に活用することで、運動が得意でない子供にも多くのスポットライトが当たるように授業改善を図れるはずです。