体育科に課せられた情報機器の基本的な操作

子供の学び,教師行動ICT,学習指導要領,指導者

平成29年版学習指導要領の総則には、情報活用能力の育成に関する記載があります。各学校が、必要な環境を整えるとともに、適切に活用した学習活動の充実を図ったり、視聴覚教材や教育機器などの活用も図ることとされています。

これを受けて、各教科等では、特質に応じて、児童が文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動を計画的に実施することになります。

各教科等とも「指導計画の作成と内容の取扱い」のなかで情報活用能力の育成に触れています。たとえば、ローマ字を学習する国語では「児童がコンピュータや情報通信ネットワークを積極的に活用する機会を設けるなどして,指導の効果を高めるように工夫すること。」となっていて、「指導の効果のためなの?」と感じるようなやや指導者目線の記載です。

算数では「数量や図形についての感覚を豊かにしたり,表やグラフを用いて表現する力を高めたりするなどのため,必要な場面においてコンピュータなどを適切に活用すること。」で、「まあ、いろいろな視覚情報を使うんだろうな」と読み取れる内容です。

一方、体育科の記載内容は、ほかの教科等とは少し違って、子供主体の記述で、しかもかなり踏み込んでいます。体育科では「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用し,各領域の特質に応じた学習活動を行うことができるように工夫すること。その際,情報機器の基本的な操作についても,内容に応じて取り扱うこと。」となっています。「(子供が)学習活動を行うことができるように(指導者が)工夫する」と、子供が主語の学びにしようとしていることになります。

つまり、子供が「できるようになる」ための活用です。しかも、「基本的な操作についても、内容に応じて取り扱う」と、総則に記載されていた基本的な操作について敢えてここで繰り返しています。「基本的な操作」は、総合的な学習の時間にも記載がありますが、教科では体育科だけです。できそうな「基本的な操作」を体育科で取り扱うことで情報活用能力を身に付けられるようにするということなのでしょう。

校庭や体育館にいちいちタブレットを持って出かけることが煩わしい、校庭ではWi-Fi環境が整っていないことなどを理由に、「使わない」ということは、ありえないわけです。「まず、使ってみる」「とにかく、使ってみる」ところからスタートして、その後、個別最適となるよう子供が自己の学びを変えるために使えるようにすることが、体育科に求められています。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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