体の動きを高める運動では、「できる」動きを扱う
体育・保健体育の中で唯一、小学校1年生から高校3年生までが同じ領域名で学習する「体つくり運動」(1・2年生のみ「体つくりの運動遊び」)は、「体ほぐしの運動」を除くと、4年生までと5年生以降では、そのねらいが大きく異なります。
4年生までは、筋力がまだ不十分で神経系が発達する年代という特性があることから、体力を高めることを直接のねらいとせず、将来の体力向上のために様々な基本的な動きを身に付けられるようにします。そのため、内容を「多様な動きをつくる運動(遊び)」として、体のバランスをとる運動や用具を操作する運動などを取り上げます。
一方、5・6年生では「体の動きを高める運動」として扱い、一人一人が直接的に体力の向上をねらいとして運動するところに4年生までとの違いがあります。 短なわ跳びを取り上げるにしても、4年生までと5年生からでは、その扱い方が明確に違います。
基本的な前回し跳びからスタートして「体力が向上した」実感を味わえるようにするには、基本的な前回し跳びに一定の条件を加えてもできるかどうかを学習します。運動の行い方の工夫として、長なわの中で前回し跳びをしたり、決められた時間の中で連続して前回し跳びをしたりして巧みな動きを高めます。
ここで、いろいろな回し方を工夫する方向ばかりに「巧み」を発展させてしまうと「できない×できない」となり、技能でのつまずきが生じてしまいます。動きを高めるためには、技能でつまずかせては学習が成立しません。