コマネチ選手の10点満点に迫る
白い妖精と呼ばれたナディア・コマネチ選手(ルーマニア)の代名詞となった「10点」は、オリンピック史上初の満点でした。1976年のモントリオールで「10点」は誕生しました。
当時の体操競技は減点法でしたが、審判員が複数で細かく見ても、どうにも減点できなかったゆえの「10点」で、演技したコマネチ選手本人も「完璧だ!」と思っていたことでしょう。
マットを購入するとついてくる取扱説明書の表紙の子供は、演技を始める前は不安そうにしています。しかし、転がり終わったときには、得意満面の「10.0!」です。本人はうれしそうですが、さて、この技能の評価は、どうなるでしょうか?
3・4年生ならB、1・2年生ならAとなるでしょうか?
同じ動きをしているように見えるとき、1・2年生だからAになるのではなく、その学年の目標から判断しなくてはなりません。
「マットを使った運動遊び」では「いろいろな方向への転がり」が目標なので、前に転がっただけでAにはなりません。一つの動きとしては、自己申告どおり「10点」でいいのですが、いろいろな方向への転がりの一つができただけです。
このとき「しゃがんでからでないとダメ」などという評価観で動きを見ていると運動遊びの要素がなくなり、意欲を失う可能性もあります。「いいね。」と動きを評価した上で、「しゃがんでから始めたらどうなるかな?」や「後ろに転がるとどんな感じかな?」という動きの幅を広げる支援により、どの子供もいろいろな「10点」を出せるようにします。