「見方・考え方」と主体的な学びは、どのような関係にあるのか
それぞれの教科等にかかわりなく子供が「見方・考え方」を働かせることができるのは、それまでの経験があるからです。子供が、「なんか、おもしろそうだ」と感じて目の前の対象を捉えるとき、そこには教科等の特性に関わりなく「見方・考え方」が働いていることになります。
主体的な学びは、この「見方・考え方」がよりよく働くことによって進んでいくと考えることができますが、その働き方にレベルがあって、それを磨いていけるような授業が求められるとも言えます。なぜなら、就学前までは教科等の「見方・考え方」という概念そのものが存在しないからです。
1・2年生の「用具を操作する運動遊び」では、短なわを使ってなわを前後に揺らしたり回旋したりしながら「面白そうだ。やってみよう。」という意欲を高めたり「こうやったらできそうだ。」と思考を促したりします。
このとき指導者は、子供が短なわの魅力に触れることができるよう教材研究をします。そこから子供の内発的動機付けが触発されて主体的な学びが進められる状況になります。
つまり、「見方・考え方」を働かせた主体的な学びが成立するためには、教材そのものへの主体的なアプローチがあり、そうした学びが子供は楽しいのです。
しかし、5・6年生の「体の動きを高める運動」は、これとは少し違います。ここでは、自己の心と体との対話をとおして「体力を高める」ことが直接の目的となるので、短なわの魅力へのアプローチではないところから学びがスタートすることになります。必要を充足する「体の動きを高める運動」は、ほかの運動とは違った「粘り強い取組」や「学びを調整する力」が試される運動と言えます。