できなかった動きを獲得することは、子どもにとってどういう意味をもつのか

こども,モニタリング・相互作用,子供の学び技能,発達,遊び

子供の生活を考えてみたとき、基本的な動きは、さまざまな遊びの場面で用いられる技能であると同時に、生活のいろいろな場面で用いられる技能でもあることを忘れてはなりません。特に幼少期の子供にとっては、遊びそのものが生活であり、生活そのものが遊びであるからです。

子供がフラフープを転がしたり、砂場でお団子をつくったりして遊んでいる場面を想像してみましょう。初めはうまく転がせないフラフープも遊びながらできるようになっていきますし、お団子としてなかなか丸くならなかったものが次第に丸くできるようにもなってきます。子供たち自身が「やってみよう」と遊びへのトライを繰り返すことを通して、ぎこちなさが抜けて動きが洗練化されていくのです。

そしてこの能力は、生活の中でスプーンや箸を上手に扱えるようになったり、ボタンをはめるなどの着衣などにみられる手先の器用さにつながったりする可能性が高くなります。また、積み木をバランスよく積み重ねられることは、こぼさないように水の入ったコップや料理の入った皿を運ぶなどの生活習慣の獲得に寄与することにつながっていきます。

動きの獲得が子供にとってどういう意味をもつのかを考えてみることが大切で、それぞれの年代での生活の充実を目指して動きは獲得されるべきなのです。クロールで速く泳げるようにするための泳法やボールを強く正確に蹴るためのインサイドキックなど大人のための洗練化された“技術”の獲得を目指して繰り返し練習するような学習は、もはや「運動遊び」と呼べるようなものではなく、子供の生活の充実にとってほとんど意味をもたないことを指導者が理解していなければなりません。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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