主体的な学びを促す声掛けのレベル4段階
いくら主体的な学びと言っても、ほったらかしの授業では何の学びにもなりません。子供が主体的な学びを進めていけるようにするためには、その手立てが必要となります。
そのうちの一つが指導者による声掛けです。さまざまな学習状況の子供に対してどのようなアドバイスができるのかが、子供の主体的な学習を保証できるかどうかのカギとなります。
1 成否の判断
とりあえずできる声掛けは、「できた」「できなかった」を指摘するだけの成否の判断です。子供から「先生、見てて」と言われて、「できてないよ。」と伝えるだけです。「うん、いいんじゃない。」「それじゃダメだね。」などと言うだけで、教員免許がない学生でもできるレベルと言えます。 「できた」「できなかった」 は、子供が自分であるいは友達同士の相互評価で判断すればいいのです。それでも、もし、指導者に判断を求められたら子供の自己評価を先に言わせるようにしてから指導者としてのコメントを伝えた方がいいです。
2 欠点の指摘
次には、欠点の指摘が考えられます。1の成否の判断で「できなかった」と評価した場合、「今のじゃ、できてないよ。まっすぐじゃなかったからね。」と根拠を含めて伝えるレベルです。この指摘を受けた当の子供が、このあとどのように自己の課題を解決していけばいいか分かっているか否かで、このアドバイスの有効性が決まります。「できなかった」という判断にどのような根拠があるのか、子供がそのとき感じていたり考えていたりしたことを引き出すような声掛けをしていきましょう。
3 方法の明示
さらには、方法の明示があります。2の欠点の指摘で、自己による課題解決がはかれない学習状況にある子供に、「まっすぐじゃなかったから、手をしっかりつきなさい。」と解決方法までを明示するケースです。この明示により課題解決に進むことができますが、いつまでもこれでは、主体的に学ぶ態度が身に付かず、指示待ち状態から抜け出せません。自分の動きを振り返って「できていなかったのは、〇〇だからだ。」と分かっている子供が次にやるべきことは、どうやったらそれを解決できるかです。解決方法を子供に先んじて伝えてしまっては、子供から学びを奪ってしまうことになります。
4 運動する感覚への支援
最後に運動する感覚への支援があります。子供が、自分自身で運動と向き合い、その運動にどんな感じがしてどうしたら解決できるか、その能力を引き出していく声掛けです。「どうだった?」「どんな感じ?」から始まって「どうすればうまくいくかな?」と、子供の学びを追い込んでいきます。