リレーで走る順番は、どうやって決めるべきか

学習内容思考力・判断力・表現力等,技能,短距離走・リレー,走の運動遊び・走の運動,陸上運動系

子供が考える「リレーで勝つための作戦」のひとつに、走る順番を変えることがあります。さて、アンカーである第4走者にウサイン・ボルト選手がいるのと、第1走者がボルト選手だった場合とでは、タイムに違いがあるでしょうか?

 

答は、YES。ボルト選手がアンカーで走ったほうが好タイムが出るはずです。レースを見る観客であれば「ボルト選手がアンカー」というハラハラする期待感もあるでしょう。しかし、競技者としてはエースがアンカーという気分的な安心感があることでチームが精神的に安定するという要素もあるでしょう。しかし、ボルト選手を第1走者にしない決定的な理由があります。それは、「ボルト選手は、スタートがうまくない」ということなのです。

第1走者のスタートダッシュは、直接チーム全体のタイムに影響します。次の走者もスタートダッシュは必要としますが、その時間は、まだバトンを持っている前の走者が走っている時間を計っていることになります。テイクオーバーゾーン内で、いわゆる「リード」と呼ばれる技能によって次の走者がトップスピードにもっていければ、バトンパスによるタイムのロスが最も少なくなるのです。

競走することそのものを楽しんだ4年生までの「かけっこ・リレー」と違って、記録へ挑戦するようになる5・6年生の「短距離走・リレー」では、単に「アンカーがカッコよさそう」というだけで走る順を変えていては学習になりません。タイムを縮めるのに最も有効な手段は「減速の少ないバトンの受け渡し」ですから、誰から走るかを合理的に考えることも学習になり、そのコンビネーションも練習していきます。

したがって、運動会でよくみられる複数のチームが、同じスタート位置から一斉に走り出してタイムを計ることは、体育の授業ではやりません。自分たちのチームがせっかく練習したバトンパスなのに、バトンゾーン内で互いのチーム同士がじゃまし合うリレーになってしまうからです。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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