「形」ではなく「動き」の特徴を捉える表現遊び

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鳥を題材として表現遊びに取り組むと、その「形」の特徴である翼そのものが「動き」の特徴を持ち合わせていることに気付くでしょう。

手を横に広げてゆっくりと大きく上下に動かせば、それは「鷹」となり、大空を悠々と飛んでいる様子を表します。同じように手を横に広げてたまま静かに勢いよく走れば、滑空しながら虎視眈々と獲物を狙っている動きの特徴になります。また、手を広げてちょこちょこ上下に振れば、それは「すずめ」となり、あちこちを楽しんで空を散歩しているかのような特徴を表します。手を大きく広げてばっさばっさと次第に速く動かすようにすると、それは「白鳥」となり、湖面から飛び立っていくときの特徴を捉えることができます。

1・2年生の学習内容である表現遊びでは、題材の「動き」の特徴を捉えて踊ります。題材の「形」の特徴だけを指導してしまうと、「うさぎは、両手で長い耳をつくって…。」「ぞうは、長い鼻があるよ。」のように「形」を模倣するだけで単調な動きになってしまうので、「形」の特徴ではなく「動き」の特徴を捉えるようにします。 その後、「○○が、○○をしているところ」というように短いストーリーを即興的なイメージで踊ります。

「ライオンが、獲物を探しているところ」では、獲物に気付かれないよう低い姿勢でゆっくり歩き、獲物に近付いたら急に立ち上がって「ビュン」と走り出す動きになるようにします。ここで、ライオンの「形」のまま4本の手足で走っていては、猛スピードで獲物に襲いかかる「動き」になりません。場面に応じたライオンの「動き」の特徴を表現するためには、ライオンの「形」を捨てることがポイントになります。

このときに、獲物の立場になって「のんびりと草を食べていたら、ライオンの気配がしたので一目散に逃げるところ」という獲物の特徴も表現しようと考える子供もいます。「〇〇さん、ライオンやって。私、逃げる獲物をやるから。」となるわけですが、こうなると混乱したドタバタな寸劇のようになってしまうので、ライオンの表現だけに徹するように支援したほうがいいです。

なお、ぞうの場合は、「形」の特徴である鼻の「動き」に特徴があるので、片手で鼻の「形」を模倣していても、水を浴びていたりリンゴを食べていたりすることができます。「ぞうが、水浴びをしているところ」であれば、長い鼻で水を吸ってからゆっくりと大きく鼻を上にあげて頭から水をかぶるシーンが思い浮かびます。特徴ある「形」が「動き」の特徴を持ち合わせていることに関しては、鳥と同じですが、インド象でもアフリカ象でも「動き」の違いが出しにくいため、鳥のようなバリエーションは広がりません。ぞうの大きさや重さ、強さなどが表現できればOKでしょう。

うさぎの場合は、「形」の特徴である耳に「動き」の特徴が見えにくいです。「うさぎが、人間に見つかって逃げるところ」であれば、人間の気配に気付くまでが耳の「動き」の特徴を出しやすいところです。しかし、耳の「形」をいつまでも作っていると、うさぎの身軽さを表現したり敵から一目散に逃げたりする場面で両手がふさがってしまって、うまくいきません。「形」に特徴があってやりやすそうに思えるうさぎは、扱い方によっては、やりにくい題材とも言えます。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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