タブレットで見ても「動きのリズム」までは、分からない

マネジメント・直接的指導,子供の学び,教師行動ICT,メタ認知,学習課題,思考力・判断力・表現力等,技能,指導者

運動の空間的認識としては、「動きのかたち」を視覚的に学習カード等に表すして行うことがあります。

ある運動するときに腕はどこにあったらよいか、腰はどのような軌道を通るのか、膝はどのように曲げるのかなど、動きの局面での体の空間的な位置関係が分かるからです。そのため、以前では単元のスタートに際して「はい、こんな動きですよ~」と「動きのかたち」をプリントしたり、最近ではタブレット上で見られるように準備してあげています。

子供が視覚的に動きを理解することができれば、動きを身に付けられるだろうという仮説でしょう。「動きのかたち」は、子供もそこに注意を向けられる客観的内容をもつので、先生からの具体的な指導で学習状況を改善できる可能性があります。しかし、残念ながら保健体育の免許を持たない多くの小学校教員には、そこまでの専門性があるとは言えません。

「動きのかたち」を示すだけの運動図は、教員にとっても運動を本質的に捉えることができるよさがありますが、運動図だけ示して、あとは子供に丸投げでは、身に付くものも身に付きません。「動きのかたり」はわかっても「動きのリズム」が分からないからです。

運動の力動的内容としての「動きのリズム」、つまり、身体を動かすときにどんな感じがして、どんなタイミングで、どんなアクセントになるなどの緊張と解緊による構造は、客観的に計測したり視覚的に捉えたりできません。豊富な運動経験があり、目の前で見た運動に共感する能力がよく発達しているという前提条件が満たされている子供であれば「動きのかたち」から「動きのリズム」への転換をしやすいのですが、今の子供には前提となるこの経験が足りないので、運動図を見ただけで「動きのリズム」までは分からない実態があります。

しかし、タブレットで動画を見たところで子供たちは「動きのリズム」はつかむことができません。「動きのかたち」に鋳型化するような資料提示だけで指導をしたつもりになってしまっては、主体的な学びには程遠いものになります。

運動のどこに注意を払うことによってできるようになるのかという「動きのリズム」を知覚できるようにすることが、小学校の先生に求められてきます。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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