体育座りをするのにふさわしい場面がある?
体育の授業だけでなく全校集会や遠足などでもおなじみの「体育座り」。みなさん、やったこと、ありますね?
地面や床に座るときの行動様式の一つですが、行儀良く見せようとして背筋をピーンと伸ばした「体育座り」を徹底させる指導者も見られます。手いたずらをしない、スペースがコンパクトなどの利点がないわけでもありませんが、これは、指導者の一方的な考え方によるもので、子供の学びとは関係がありません。
そもそも、「体育座り」は、学習指導要領に示されているわけでもないので、その呼び方も地域によって様々です。なにも「体育座り」という呼び方でなくてもいいはずですが、体育で身に付けるべき内容と認識されているので「体育座り」と言われていることが多いようです。
「体育座り」は、昭和40年に文部省(現・文部科学省)が集団行動の指導を適切に行うための参考資料として刊行した「体育(保健体育)科における集団行動指導の手びき」の中で「腰をおろして休む姿勢」として示されたことが最初です。要するに「体育座り」は、目的をもって待機している姿勢である「休め」の別バージョンと言えるのです。
平成5年改訂版の留意事項には「形式的に指導したり、必要がない場面で、不自然と思われるような画一的な行動様式を強要するといったことは決して望ましいものではない」と記されていることから、集団行動が単なる行動様式の訓練になってしまい、適切な指導が行われていないという実態が浮かび上がってきます。
体育の時間なら「体育座り」の姿勢は、長くてもせいぜい1~2分です。しかし、これが学年集会などでは1時間近く「体育座り」を強要されるかっこうになり、最近の子供たちの体の弱さも手伝って「腰やおしりが痛い」「疲れる」「子供に負担」など「体育座り」批判が飛び交うようになるのです。
体育の時間に「体育座り」をする場面はどこか、なぜ、そうする必要があるのかを集団行動として子供が理解できるようにする指導は必要です。そうなると、目的が明確になればなるほど、「別に、『体育座り』じゃなくたって、いいんじゃない?」と子供が考えるようになってきます。
「体育座り」などの集団行動は、それぞれの場にふさわしい行動を主体的にとれるように指導することが大切です。「しつけ」ることはあっても「押しつけ」であってはなりません。