並びっこしよう

学習内容体つくり運動系,学習指導要領,態度,遊び,集団行動

昭和43年版学習指導要領までは、集団行動について「体操」領域にその「技能」の内容が示されていました。「短なわで両足とび、長なわで大波小波」や「押し出し遊び、片足ずもう」などと並んで「教師の合い図で、縦隊の集合・整とんなどをすること」とあったのです。つまり、集団行動だけを単元とした指導が存在していました。なお、「体操」という領域は当時の名称で、現在は「体つくり運動」にその内容の一部が引き継がれています。

その後、53年版では、「態度」の内容に「縦隊の集合、整とんなどの集団としての行動ができるようにする」ことが含まれるようになり、一つの領域だけでなくどの領域においても扱うように改められました。さらにその後は、集合、整頓、列の増減などの行動の仕方を各運動領域において適切に行うよう「内容の取扱い」に示されるようなりました。集団としての行動について、その運動領域にふさわしい適切な指導をすることになっています。

大人目線で見ると整列すること自体は、あまり面白い運動ではないですが、1・2年生にとって、みんなで並びびっこするのは、どこか楽しいようです。かっこよく「気を付け」をしたりピシッと「前へ、ならえ」ができたりするとよほどうれしいのか、「どうだ!」といわんばかりの表情を見せます。「いい姿勢です。」と褒められれば、なおのこと張り切ります。

多くの場合の整列は、後ろの列になるほど左右の幅はやや広がっていきます。指導者を扇の要のようなイメージに近付けてしまったとき「これで真っすぐだ!」と子供が錯覚するからです。整列場所は、いつも朝礼台の前ばかりでなく、校庭の真ん中に並ぶようにしたり、指導者が逆を向いてみたりと、並ぶときに子供たちの「あれ? どっちだったっけ?」という思考や判断が少し入るようにして、遊びながら身に付けられるようにしていきます。

また、整列は、前から3番目の子供がキーパーソンになります。先頭の子の頭が2番目の子の頭で隠れるように並ぶと、列の最後までまっすぐになる可能性が高いので、「2人前の友達の頭が隠れるように並びましょう。」などと声を掛けることも、昔からよく使われるフレーズです。

余談ですが3番目がキーパーソンだなんて、日本の幕府のようです。3代目の将軍実朝で滅んだ源氏を除いては、その源氏を引き継いだ執権北条泰時は3代目、室町幕府3代目将軍は足利義満、徳川3代将軍は家光で、いずれも長期間にわたってお家は安泰でしたからね。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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