自己決定を促す3つのキーフレーズ
主体的・対話的で深い学びの実現には、自己決定できる条件整備が必要です。しかし、「子供が自分で学習課題を見いだして課題解決をしていくなら、教師は、そこそこお膳立てさえしておけば、あとはやることがない。自己決定なんだから…。」という発想では、「放任」とも捉えられかねません。
子供が自己決定しながら学びを進めていけるようにするためのキーフレーズは、およそ次の3つです。
①「どんな感じ?」
今、学びがどのような状況にあるのかを自分の言葉で語れるように促し、自己分析ができるようにします。
「今、うまく跳べそうだったんだけど、ちょっと近すぎて、ゴムに引っかかっちゃいました。」→「そうか、近すぎたんだね。じゃ…」
②「どうしたいの?」
自分の学習課題や課題解決の方法、行い方を確認し、ゴールイメージを想起できるようにします。
「たぶん、助走の勢いがつきすぎちゃったので踏み切りがゴムに近くなって失敗したんだと思うから、助走に気を付ければできそうな気がします。」→「そうか、助走ね~。それで…」
③「手伝おうか?」
学びが思いどおり進んでいるのか、自己決定ができずに支援を求めているのかを探ります。
「踏み切りのタイミングが合わない感じなんですけど、なんかいい方法はないですか?」→「う~ん。勢いがつきすぎちゃうんだったら、助走を短くしてみるっていうのは、どうかな? 〇〇さんは、その方法でやってるけど…。」
思い切って「放任」っぽくしてみると、一人一人の子供の資質・能力が浮き彫りになってきます。3つのキーフレーズが散りばめられてちりばめられている授業は、一見すると「放任」っぽく見えても、完全な「放任」ではありません。
教員の性分として「教えてあげないといけない。」という思いがあるので、子供が学んでいるそばから「ああだ、こうだ。」と言ってしまいがちになりますが、そこを抑えて、子供の自己決定にもっと委ねてみてはどうでしょうか。ただし、委ねすぎて完全な「放任」にならないようにしなくてはなりません。あくまで、「放任」っぽく、です。
3つのキーフレーズだけで、授業を展開してみてはいかがでしょうか。