「やってみたい」を見出す単元1時間めの仕掛け

マネジメント・直接的指導学習課題,思考力・判断力・表現力等,態度,指導者,評価,遊び,運動遊び

1・2年生「跳ぶ運動遊び」の1時間目。友達同士でゴム紐を持ち合って、それを跳び合う「ゴム跳び」ような指導をすることがあります。

このとき「ゴムを持つ人は、最初、ひざの高さにしましょう。」と言ってしまうと子供たちの一気に楽しさは半減します。さらに「3歩の助走で正面から片足で踏み切りましょう。」と動きを制限するといっそうつまらなくなります。

子供たちの心情としては、「ゴム跳びだ~」とすぐにイメージが湧く学習のはずです。子供によっては、わざとすごく高い位置にゴムを張って「できないよ~。もっと低くして!」というような友達とのやり取りさえも楽しんでいる様子が見られます。自分たちのイメージで楽しそうにゴム跳びを始まるのです。

しかし、これらの跳ぶ運動遊びを見た指導者側に「跳べる程度に高さが揃っていないと…。」「同じような跳び方でないと…。」「なるべく、走り高跳びっぽくしないと…」といった指導観があると、つい余計な口出しをしてしまうことになります。すると、運動遊びを学びたかった子供たちには満足感が得らなくなります。そのため、その学びへの意欲さえも失われていきます。

平成29年版の学習指導要領に示された主体的・対話的で深い学びが実現するには、子供にとってその運動が面白そう「これならできそうだ。」と感じ、まず、やってみることがスタートとなります。つまり、実現するかどうかは、単元の1時間目に大きな勝負がかかっていると言えるのです。

単元の1時間めをいろいろな動きができる自由度の高い条件にすると「これならできそうだ。」「跳ぶのって楽しいな。」という気持ちがみるみる湧いてきます。そこから「こうやっても跳べるかな?」「どうやったら面白いかな?」など自ら課題を設定し解決していく学びに発展していきます。危ない遊び方をしないように安全に関する約束をするにしても、動きに制限をかけないで跳ぶ運動遊びを始められるようにしていきます。子供たちは、自分たちでゴムを高くしたり低くしたりしながら、たとえ跳べなくてもおもしろい状況を楽しんで学んでいきます。

そのうち、ちょうどいい高さに気付いて調節したりゴムを2本組み合わせたりして、自分から遊び方を工夫して運動するようになります。特に、思考力・判断力・表現力等の資質・能力が一気に進みます。逆に、運動との出会いである1時間めがうまくいかないと学習課題が見出せず、2時間め以降は、指導者が引っ張ってばかりの授業に陥っていきます。遊び方を工夫できる余地を残さない指導では、主体的・対話的で深い学びは実現しません。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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