その「やってみる」にもいろいろなレベルある
学習に対する関心や意欲は、「やってみる」からスタートするのですが、体育科としては運動や健康について「やってみたい」という動機付けが欲しいところです。つまり、何のために学ぶのかです。
よく、内発的動機付けと外発的動機付けに大別されますが、主体的な学びは内発的な動機付けにより保証されます。なかでも、学習内容が面白いことが第一です。
取り組もうとしている運動が自分にとって「やってみたい」対象となっているのです。つまり、運動したい欲求を充足させることになります。
そうでない内発的動機付けとしては、5・6年生の体の動きを高める運動で扱うような「自分の体を鍛える」「これからの自分の生活に生かす」などの必要を充足させるための「やってみる」があります。もちろん、学習内容が面白いという気持ちで取り組んでいることもありますが、その場合、体の動きを高める運動の目標にそぐわない行い方が発現することがあるので、気を付けなければなりません。
一方、外発的な動機付けの「やってみる」で最もよく見られるのは、仲良しの友達がやってる運動と同じ学習課題にするというものでしょう。自分の学習課題が明確に見いだせていないので、とりあえず「〇〇さんと、いっしょ」ということもありえます。
しかし、このケースでは多くの場合、「〇〇さんといっしょ」という考え方のほうがいつまでも優先されます。最後まで自分の本心から「やってみる」にならないので、支援が必要です。
ほかにも、「自分はクラスで一番だ」「先生が喜んでくれる」など自尊心や報酬のための「やってみる」も考えられます。これらは、外見的には主体的に学んでいるように見えても、そうではありません。