運動領域での学びの記録をノートに残す

マネジメント・直接的指導,教師行動思考力・判断力・表現力等,指導者,評価

学習カードは、自分の学びを振り返って自己評価し、次の学びにつながるようにする目的で使います。体育の運動学習では、「運動するのに書くなんて、じゃま!」「校庭なんかに置いておくところがない。」などの理由から、「手ぶらで体育」という状態が長く続いていました。

しかし、ほかの教科にはノートの存在があり、黒板を写すだけのときもありますが、とりあえず学習したことををノートに記録していました。体育をはじめ音楽や図工などは、そのような学びができない教科だったと言えます。昭和52年の学習指導要領から、自己実現による生涯学習につながるような運動そのものを楽しむことが目的となり、そのころから、学習状況を自分で記録する学びの必要性が問われるようになりました。

学習カードには、学習課題を解決するための方法や運動の構造図などの資料を載せるケースもあります。黒板さえもなかった過去の体育の授業では、子供が自分の課題解決をしようとしても参考になるような資料が手元に無い状態でした。そのため、先生から「はい、これをやりましょう。」「これは、このようにやればいいんですよ。」と指示を受けてばかりの授業になりがちだったのです。

学習カードは、子供たちの学習を支援するアイテムであると同時に対話的な学びを生む材料にもなります。記述により評価を補う方法として、「どのようなことができるようになったのか。」について◎をつけられるようにしたり学習のねらいに沿ったリード文を用いたりすることにより、学習状況を把握する方法もあります。そのため、振り返りの時間が学習カードを生かすうえで重要になるのです。

主体的に学ぶことができるようにするための学習カードに必要な条件がいくつか考えられます。①カードそのものが子供に分かりやすい、②手間がかからない、③書くことで意欲につながる、④子供が考える余地がある、⑤学習の足跡が見られるなどです。また、学習カードを授業で生かすためには、①子供自身がめあてをもっていることはもちろんですが、②日常化されていること、③指導者の入る余地があること、④学習の結果を友達同士で認め合い、伝え合いに生かすことなどが考えられます。

学びが進んでくれば、よけいな線や枠、文章などを一切なくして、自己の学びの状況を工夫して記録できるようなノートにすることも考えられます。授業時間に書く時間が確保されなければ、家庭学習などに充ててもいいでしょう。自分が解決したい学習課題がある子供こそ、体育のノートづくりは楽しくなってくるはずです。

評価するということは、その具体的な学習状況が出現するような場面が意図的に含まれるような指導の手立てが必要です。評価するためには、そのための手立てを講じることが前提となります。体育の運動学習では子供のパフォーマンスが消えていくので、ICT機器を活用して子供たちが相互に評価し合う方法もあります。しかし、最後は、指導者による行動観察での客観的な評価が決め手です。これを補う機能も学習カード・学習ノートにあります。今や、「手ぶらで体育」は、ありえません。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

最新ヒントのメール配信をご希望の方は、こちらから登録できます。