「はじめのい~っぽ」の技能の発展性
伝承遊びのひとつ「だるまさんがころんだ」は、「はじめのい~っぽ」が、その開始の合図となりますね。みなさんも遊んだことがあるでしょう。遠足に行くときや異学年が混じって遊ぶなど、やり方が単純で誰にもできる遊びです。「はじめのい~っぽ」のあとは、鬼の隙をついて、止まったり動いたりの繰り返しです。静と動の組み合わせで多様な動きを経験できるようになるもってこいの遊びです。
この「はじめのい~っぽ」で発生する動きは、遠くからタッタッタッターと走ってきて、片足で踏み切って遠くへ跳ぶ一連の流れです。そう、「はじめのい~っぽ」の動きは走り幅跳びと全く同じ構造をしているのです。つまり、似たような感じの動きである「はじめのい~っぽ」は、走り幅跳びのアナロゴンと言えます。
とは言え、遊びの中でやっていることなので、「はじめのい~っぽ」のフォームを気にしている子供はいません。「はじめのい~っぽ」という動きそのものを楽しみ、繰り返しながら遊んでいるうちに踏み切りラインに合わせたジャンプができるようになったり、どうやったら遠くへ跳べるか考えたりできるようになってきます。一方、「はじめのい~っぽ」で踏み切りがうまくできない子供もいるので、よく見ておく必要があります。 両足で踏み切ってしまったり、ラインから大きくずれて一歩を踏み出してしまうなどです。
伝承遊びは、1・2年生の「内容の取扱い」に示されているだけなので、必ず指導しなければならない内容ではありませんが、歌や運動を伴うため多様な動きを身に付けるチャンスでもあります。「だるまさんがころんだ」をうさぎやカンガルーになってやると、両足で跳ぶ、続けてはねる動きなども経験することができます。
このほかの伝承遊びでは、歌に合わせて続けてジャンプするような「あんたがたどこさ」なら、「さ」でしゃがんだり後ろを向いたりするような遊び方もあります。「はないちもんめ」の「め」で足を正面に蹴り上げる動きは、思いっきりボールを蹴るような動きや走り高跳びの振り上げ足の動きに発展していきます。
伝承遊びには、多くのアナロゴンが潜んでいますので、子供の動きを見ながら探してみるのも面白いでしょう。