カマキリが、子供の頃に狩りの練習をしなくてよい理由

こども,子供のからだ学習課題,技能,発達,遊び

カマキリには、目の前の獲物が自分のカマの幅で捕まえられる大きさかどうかを認識できる能力があります。自分のカマより大きい獲物は、捕まえられないことを認知しているからです。

合わせて、自分の腕の長さの届く範囲を認識する能力ももっており、その範囲内に獲物が来た時にだけ捕獲動作を開始します。そうなる前にあわてて動いてしまうと、獲物にまんまと逃げられてしまうからです。

つまり、カマキリは、獲物に飛びかかる前にじっとしたまま、目視だけで獲物との距離感などを極めて正確に判断しているのです。

ところで、これを読んでいるみなさんの周りにある物に、そのままの姿勢で手が届くかどうか判断できるでしょうか。「このあたりまでなら届くけど、あれは、どうかな…」と考えますね。

人間は、手の届く範囲をやや過大評価する傾向にあるようです。しかし、このような知覚的な判断は、そう大きく外れません。それは、これまでの生活経験の中で空間を認知する能力が高められてきた結果と言えます。

カマキリが狩りの練習をする話を聞いたことがありません。ですから、成長するにつれてカマの大きさが変化しても、獲物を一気に捕まえるためのポイントを外さない能力がもともとあることになります。狩りの練習をいちいちやっていたのでは、いつまでも獲物にありつけず、生きていけないからです。

しかし、人間には、このような都合のいい能力はもともと備わっていません。

鬼ごっこで「このタイミングで手を伸ばせば、タッチできるな」と考えたり、走り高跳びの助走で「あのへんで踏み切ればいいはず」と考えたりしますが、カマキリのようにもともと備わっている能力でないため、これらの動きを獲得するには、繰り返しやってみる経験が必要です。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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