「跳ぶ」は、どの運動領域で扱われるべきか?
「跳ぶ」運動遊びについて1・2年生では「走・跳の運動遊び」に、助走から片足踏み切って前や上に跳ぶことや片足や両足での連続ジャンプが例示されています。
これ以外にも「多様な動きをつくる運動遊び」の中で両足や片足ジャンプして空中で向きを変えながら「跳ぶ」運動遊びがあり、「跳び箱を使った運動遊び」の中にも跳び箱からジャンプして跳び下りる運動遊びがあります。
こうしていろいろな領域で「跳ぶ」運動遊びが扱われるようになったのは、系統性を明確にした平成20年版の学習指導要領からです。
それまでは、全ての「跳ぶ」が「基本の運動」領域の内容だったので、遠くでも高くでも、片足でも両足でも、いっしょに扱える運動遊びでした。助走があっても無くても、単発でもリズミカルな連続でも、跳ぶときの姿勢、方向、距離、人数などを工夫しても同じ単元でOKだったのです。
「跳ぶ」運動遊びは子供にとって細分化されていないので、従前の「基本の運動」の方がより運動遊びらしく学習できていたと言えます。「跳ぶ」を系統性でカテゴリー分けして領域ごとに示したことは、運動遊びをしたい子供にとっては、あまり関係のない話ですが、指導する側にとって都合がよくなりました。「跳ぶ」運動を取り上げるときのねらいを領域の特性に合わせて明確にしておかないと、何を身に付けようとしているのかが分からなくなってしまいます。
「走・跳の運動遊び」は陸上運動系の領域となるので、「助走」もひとつのキーワードとなりますし、何らかの形で「競争」を取り入れることとなります。しかし、「体つくりの運動遊び」で取り上げるとすれば、「いろいろな跳び方」でリズムや方向、高さなどを工夫して楽しむことになります。
なお、高いところに手が届くかどうかジャンプするような運動は、スポーツテストの項目に垂直跳びがあった頃の名残です。平成10年まで実施されていたスポーツテストが新体力テストに変わったのを機に、平成10年版の学習指導要領から垂直跳びのような運動は、その姿を消しました。