ボールを操作する動きを見ていると全体が見えなくなる
ゲーム中にボールを操作している子供は一人だけで、あとの子供は、ほとんどの時間に「ボールを持たないときの動き」が要求されます。
このとき、指導者がボールを操作している子供の動きを見てしまうことが多くなりがちです。パスやドリブル、シュートができたことだけを技能の評価としてしまい、「ナイス、パス!」「ナイス、シュート!」「おしい」ばかりになってしまいます。これは、言わば“観客目線”の評価です。評価というよりゲームを楽しんで見ているだけの状況です。
サッカーを観戦しているときにはボールに対してプレーしている選手を見ているほうが楽しいので、「ボールを持たないときの動き」がよい選手の印象なんて無いのと同じ状況です。
1・2年生のボールゲームであれば一人1個のボールを使うこともあるので一人一人を評価できます。しかし、集団対集団で1個のボールを競い合うようなゲームでは、すべての子供がゲームにどう貢献し、どうかかわっているかを評価できることが重要です。
“観客目線”の指導者は、ボール操作をしている子供の印象のみが残りやすいのですが、ボールを持たないときにパスが通るような動きをしたり得点しやすい場所に移動したりできた子供の技能も同様に評価すべきなのです。
「ボールを持たないときの動き」をゲーム中に指導者が価値付けることで、その技能の評価観を子供にも示すことにもなり、それが子供同士の励まし合いの言葉になったり、作戦を選んだり立てたりするときのヒントにもなっていきます。
なお、チームのメンバー同士の連携プレーは、中学校の学習内容になるので、小学校では、個人としての技能を身に付けられるようにすることが中心になります。