チームの作戦と個人のめあて、この2つをどう取り扱うべきか
作戦なしでも勝ってしまうことがあります。しかし、それでは学習にならないので、勝つための作戦を選んだり立てたりします。
リレーでも作戦のようなものを立てるよう指導するケースがあります。しかし、それは、相手に勝つ目的よりも自己のチームがうまくいくようにするための“作戦もどき”です。走る順番やバトンパスでの声掛け、カーブの走り方など、動きを相手にじゃまされることがない“作戦もどき“なので、この場合、個人のめあてとのズレが生じません。
1・2年生のボールゲームでも一人1個のボールを持つようにすれば、チームの作戦と自分のめあてがイコールとなります。鬼遊びでの「つっこむ作戦」「ジグザク作戦」などは組織的なプレーでなく個人の意識や技能の課題を作戦としているので、作戦を忘れて個人プレーに及んでもカモフラージュされます。
いずれ一人で鬼をかわすことができなくなったときに仲間と連携した攻め方に気付きます。そのとき、初めて組織的なプレーとしての“本物の作戦”が生まれます。たまたま自分の目の前にいた仲間をおとりにするような格好になった場合でも、「おとり作戦」成功となります。 つまり、このあたりまでは、チームの作戦と個人のめあては、完全に一致しているように見えます。
3・4年生からは、より組織的な作戦になるように指導していきますが、まだまだ個人プレーから抜けきれないうえに組織的なプレーをする思考も技能も期待できないので、急にはそのレベルには達しません。
5・6年生になれば、チームの作戦に基づく自分の課題を見付けることで個人のめあてを立てることになります。自分のプレーを通して作戦の有効性を検証する振り返りも、できるようになっていきます。