助走を「しっかり」、着手を「しっかり」って、何すること?

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跳び箱で「助走をしっかり!」と指導をする場面が見られますが、この「しっかり」とは、何をすることでしょう?

助走をしっかり走ることと跳び箱が跳べることは、全く関係ないとは言えませんが、根本的な解決にはならないです。それでも、勢いのある助走がいいと考えてしまうのは、オリンピックの跳馬を想像しているからです。

しかし、オリンピック選手ならば、「助走をしっかり」と言われてもおそらく跳び箱を跳べます。「助走をしっかり!」と助言してはいけない相手は、跳び箱を跳べない子供です。

跳べない子供は、「助走をすれば、跳べるんだ」と、なかば洗脳されている状況です。そこへ「勢いをつけて、強く踏み切って!」という具体的な声掛けが加わると、どこから課題解決していけばいいのか混乱をきたすようになります。

助走を始めるときに、「しっかり」走ることと「強く」踏み切ることで頭が一杯になっており、そこばかりに意識が集中している状態になっています。そのため、「しっかり」手を着いて腕で体重を一瞬支えて突き放すことは、二の次。安全な着地なんかどこへやら、です。  

跳び箱が跳べるかどうかの最大のポイントは、着手です。着手が身に付かないまま学年が上がって高い跳び箱に挑戦すると無理な助走から、けがにつながります。

1・2年生の跳び箱遊びで「支持でまたぎ乗り」「支持で跳び乗り」を取り上げているのは、「しっかり」した着手に発展していく動きを含んでいるからです。手を着く局面が実感できることが大事です。助走は、必要ありません。 

これらの運動遊びが苦手な子供には、跳び箱の手前に台を置くなどして、始めから腰の位置が高くなるような状態から腕で体を支える動きの感じを磨きます。 この手立ては、跳べない5・6年生にも有効です。

ヒントは、週2回(月・金)アップロードされます。(令和4年4月1日現在)

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