だれにでもできる体ほぐしの運動
「体ほぐしの運動」は、誰にでもできる手軽な運動を用いて学習しますが、それは、単に易しい運動という意味ではありません。
子供の実態に合わせて動き方に工夫を加えることができたり、運動感覚として「分かるような気がする」とか「できそうな気がする」という、身体の状態が感じられたりする運動を示す必要があります。そして、運動を「できる」ようにしていくということにつなげます。
この「できる」を克服とか達成といった運動特性から考えてしまうと、運動を好まない子供にとっては、「やっぱり、運動って『できないとおもしろくないじゃん』」と感じさせる結果となってしまうので、指導者の運動を見る目が大切になってきます。
例えば「跳び箱の1段目に何人乗れるか」という運動に取り組むとします。自分一人で乗ることは、おそらく多くの子供にとって易しい運動でしょう。しかし、このとき、運動を好まない子供を何番目に乗せるかが、チームでの思案のしどころです。楽ちんな最初の一人目にするか、途中で載せる方が友達につかまれるので乗りやすいと判断するか、盛り上がったところで最後の一人として乗せるか、です。
技能を評価しない「体ほぐしの運動」では当然、最初から「できる」運動を扱うことになりますが、ここでは、「乗ることができる」のではなく「みんなで運動することができる」ほうが大事です。それによって、運動を好まない子供の内在的な衝動を呼び起こし、心と体を一体として捉えられるようにします。同時にコツをつかめるようにすることで、動きの発生や改善につなげていきます。