表現リズム遊びの「よい動き」をどう捉えるか
表現リズム遊びでは、いろいろな技能レベルで踊っている子供の姿が見られます。大きくは、「題材の模倣」をしている子供と「友達の模倣」をしている子供に分けられます。
「題材の模倣」とは、子供が即興時に題材そのもの形を模倣する学びです。その形の特徴を捉えやすいゾウの場合、片手を使って長い鼻に見立ててブ~ラブラさせているだけで、できあがりです。題材の特徴は捉えていますが、どんなゾウの様子かが動きに「感じ」が現れていません。
次のレベルでは、長い鼻を大きく動かしたり、足を力強く踏んでいたりするなど、子供それぞれが捉えた特徴を誇張した動きが現れます。子供がその題材をどう捉えているかが動きに反映しており、動きの感じが出ている段階と言えます。全身で踊るのもこのあたりです。
さらに、自分で独自のイメージを加えた動きで表現している子供もいます。一見、ゾウとは見えにくい動きにおいても、ゾウの雄大な感じや力強い感じといったイメージを表現しています。見たままの形態の動きをするのではなく、その形態の枠を超えてオリジナルな動きにつなげている技能レベルです。
また、「友達の模倣」は、同じ空間で活動している友達の動きをまねして踊っている学びです。互いに真似し合ったりすることもあります。2~3人の子供たちが輪になるようにして集まり、互いの動きを相互にまねし合って楽しんでいます。ただし、友達の動きが目の前に存在しないと踊れない状態で、常に友達の動きを見ているので、動きがとぎれとぎれでスムースでない感じがします。
そのほかに、友達の動きを模倣しながら、自分では気付かなかった動きを、友達の動きの中に認めて、それを取り入れている子供がいます。自分になかったイメージや動きのアイディアを取り込んでいますが、友達の動きをただ形だけまねる場合と、自己の表現に移行するとき誇張したり変化を加えたりする場合があります。自分では考えられなかった「よい動き」をしている友達がいたことに気付いて、「よい動き」が何かを認識して踊っています。